第三章・「別離」その26


CTの寝台までに大仕事

その日の出来事と予定が書き込まれた花柄の妻の手帳は
2000年9月になると空白が目立ちます
この日、9月30日は妻の最後の外来になりました


車椅子主治医の首にしがみつく

手間が掛かりましたがCTの撮影が終わり、やっと外来診も済みました
体力をすっかり消耗して、待合の長イスに伏せている妻に
外来を終え通りかかった主治医のK先生は黙って手を貸してくださいました


無力なり現代医学の能の無き

3年と7ヶ月、摘出手術、転移した脳と骨への放射線、抗癌剤
受けられる治療はすべて受けてきた妻です
現代医学では限界、という妻に残されているのは奇跡だけでしょうか




s_yamamo@