第三章・「別離」その23
投げられた匙を主治医に投げ返す
「2000年9月16日土曜日・『癌研10時レントゲン』」
遺された妻の日記には予定が書き込まれています
検査後の主治医からの説明も何か虚しいものに感じます
いつの日か自分で治す悪しからず
今の妻には、この現代医学にしても、なす術はありません
ヘルパーさんの手を借りて実家までの道のり
車椅子の妻が、また一回り小さくなった気がします
やらなけりゃ何もできない進めない
2000年はシドニーでオリンピックがありました
ベッドの上の妻の楽しみはテレビのオリンピック観戦
日本女子選手の活躍を自分自身への励みする妻でした
s_yamamo@