第三章・「別離」その16
この際はお岩様にも願かける
外来のK先生は「余命」という言葉は使いません
その代わりに、「長生き」ということをよく言われます
妻は『私の「余命」は私が決める』とK先生にも質問をしたことはありません
娘(こ)の看護夫の介護婿の世話
かなり高齢な妻の母はとても気丈でいつもお元気です
老老介護の父との生活に妻が実家で療養することになりました
そして、毎週、週末になると、泊りがけで僕が転がり込みます
母と娘の瞳の先に赤い薔薇
いつも妻のことを気にかけてくれる義姉から
100本の赤い薔薇の花束が届きました
茶の間にある小さなテーブルの上がパッと華やぎます
s_yamamo@