第一章・「再発」その51


行けぬ旨不本意だけど友に告げ

週末、妻から預かった伝言をメールや手紙で妻の友人に送るのは僕の役目です
心配を掛けては申し訳ないし、かと言って親しい友人には事実は事実として伝えておきたいと妻は言います
この頃からは、せっかく約束をしていても当日の体調次第ではお断りするようなこともしばしばです



湯上りにサンシャインと月と星

土曜日の実家で、もう一つ、ささやかな楽しみは銭湯です
妻は洗面器にタオルと石鹸、シャンプーを入れて僕に持たせてくれます
銭湯を出て、路地の隙間に窮屈そうな「サンシャイン60」を眺めながら妻の待つ実家へと急ぎます



「また来てね」「一週たったら来るからね」

「週末はなかなか来ないすぐ終わる」・・・ほんとうに憎らしいくらいに土日は早く過ぎていきます
そうです、楽しい時間はいつも束の間、そしてまた一週間、妻には辛く厳しい治療が始まります



s_yamamo@