第一章・「再発」その47


放課後の学童の輪にまぎれ犬

いつもの散歩コース、家まではあとわずか、小学校の裏門近くまで来ると何やら学童たちが・・・
近くまで行って様子を見てみると子供たちの中心に迷子の仔犬が一匹、体を震わせています
動物好きの妻は手にもっていたクッキーを小さく砕いて仔犬の鼻先へ持っていきます



生けるものすべてがいとおしく思え

仔犬は妻の掌からこぼれたクッキーを一舐め二舐めしただけで食べてはくれませんでした
子供たちの話しではその晩はリーダーらしき少年が自分の家に連れて行くことになったようです
妻には花も木も鳥も、生きているものすべてが眩しく見える週末のそぞろ歩きがこの年も始まりました



八十を越す伯母からの応援歌

「ようちゃんが彼にめぐり逢ったのも、この病気になったのも必然、世の中に偶然なんてないのよ」
まだ癌研で手術入院していた時に妻を見舞ってくれた八十歳を数えても気丈な伯母のひと言です
僕たちに目の覚めるような言葉を贈ってくれた伯母が今度は電話で妻を励ましてくれました
2000年も2月に入り、頚椎と腰骨に転移した患部への放射線治療が始まっています



s_yamamo@