再発・「毒のあとさき」その二十三


けんちんの豆腐箸で弄ぶ

僕のお皿から夕餉を少し妻のお皿に分けてあげる
お皿に乗った僅かな副菜をじっと見つめて妻は深くため息をつく
食べなくてはいけないことは彼女が一番よく分かっている



吐いたって無理に詰め込む生きる糧

「食べることは生きること」「食べてれば人は死なない」「点滴の一瓶より一口のごはん」
副作用に悩まされながらも妻はいろいろな言葉で自分を励まします
二度の加療であれだけあった体重はみるみると減っていきます



「おかわり」の声に母が目を細め

どうかすると朝から気分がよくて快適に過ごせる日も時にはやってきます
「きょうは食べれそう」チャンスとばかり妻は一生懸命食べる
でもこんな日は二日と続かないことも妻は知っています



s_yamamo@