再発・「毒のあとさき」その二十一


友情に後押しされて帰る道

『Mさんを都電の駅まで送り家までの帰り道に「Mさんに会えてよかった」と
彼女が嬉しそうに言っていました、ほんとに今日はありがとう
でも、彼女は「もっと、もっと・・・、話し足りなかった」とも僕に言ってました
また近いうちにお会いしましょう・・・』― 平成11年10月10日 YMさん宛のメールより―
この日からちょうど一年、妻は一人旅立っていきます



秋色のニットの帽子妻ねだり

体調がよいときには翌日の日曜日も「巣鴨地蔵通商店街」へ自力で散歩をします
縁日のある四の日には商店の前にも露天が出て一層賑やかになります
そのワゴンの中から暖かそうな帽子を見つけた妻は僕の目を覗き込みました
空がぐーんと高くなった秋の早い黄昏時です



Eメール隙間を埋める午前二時

治療のため妻がその年5月から癌研近くの実家に戻って4ヶ月が経過しました
結婚以来20年、いつも一緒だったので秋の夜長をどう過ごしたらよいものか・・・



s_yamamo@