再発・「毒のあとさき」その十八


長月は時穏やかに過ぎにけり

この年は4月から入退院を繰り返しての治療が続きましたが
9月に入ってからは静かな時が流れていきます
妻を苦しめた副作用も昨日より今日、今日より明日と薄らいでいきます
次の加療に向けて体力の回復に努める妻です



母と娘に婿も邪魔して午後のお茶

週末、実家を訪れる時、路地に面した窓から母と娘の笑い声がこぼれてくると
僕の気持もうきうきと足取りも軽くなります
そして僕も二人の会話に加わりこの一週間の出来事を報告します



同病の絆を交わす受話器越し

受話器の向こうは、貴婦人のSさんです
手術の傷もようやく癒えてきた頃、「再発」を告げられショックを隠せない妻に
Sさんはご自身の厳しい状況にもかかわらず、前向きに生きることを繰り返し言い続けます
時には妻からSさんに、同病だからこそ伝わる思いがあるのでしょう



s_yamamo@